光のもとでⅠ
 どうやら、力を入れる余裕もないほどにきつく抱きしめられていたみたい。
 ツカサの無言の誘導で、もぞもぞと身体を動かす。
 結局、ツカサの胸に背を預ける体勢に落ち着いた。
 ドキドキするのに安心するのはどうしてだろう……。
 人のぬくもりのなせる業だろうか。
 その考えはすぐに打ち消される。
 ……違う。
 ツカサだから。
 大好きで、心から信頼している人だから。
「痛みは……?」
「これなら大丈夫……」
 声を発しづらいということはない。
 顔が見られないことは不服だけれど……。
 ツカサは小さな声で話し始めた。
 今回、ツカサに課せられていた試練とも言えるようなそれらを――。
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