光のもとでⅠ
 それにね――。
「データは単なるデータじゃないんだよ? 友達や家族、ツカサとのやり取りも全部残ってる。録音された声は、あの日あのときのツカサのもので、それに代わるものなんてないんだよ?」
「だからっ――俺が最初から話していれば良かったって話だろっ!? 俺が事情を説明してさえいればあんなことにはならなかったし、俺が翠に腹を立てることもなかったわけでっ」
「そんなの、もう起こっちゃったんだから仕方ないじゃないっ」
 出せる力を総動員してツカサの腕を振りほどく。
 振り返ると、「見るなっ」と怒鳴られた。
 思い切り顔を逸らされたけど、私はかまわずツカサの両頬をつねって引っ張った。
 ツカサの顔を正面に真っ直ぐ目を見て言う。
「わからずやっ」
 言ったあと、すぐに手を払われた。
 その瞬間、ツカサの指の骨が手首の骨と当たって痛かった。
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