光のもとでⅠ
 私は誰の仕掛けたトラップに嵌ったのだろう。
 ツカサ? それとも久先輩?
 考えながらエレベーターで一階まで下りる。と、携帯が鳴り出した。
 着信相手はツカサ。
「な、何?」
『俺、その財布がないとバスに乗る金ないから』
「……うん、わかった」
『じゃ……』
 短い会話で通話は切れる。

 マンションを出て路駐してある車に近づくと、車の窓が開く。
「かばん、ありがとっ! 参考書とか入ってるから重かったでしょ?」
「ごめんねー」と言いながらもどこか晴れやかに笑う久先輩に対し、私は困惑顔。
「あれ? どした?」
「あの……久先輩のさっきの言葉ってどんな意味が含まれていたんでしょう」
「え? さっきのって?」
 きょとんとした顔が向けられる。
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