光のもとでⅠ
 その向こうから唯兄がひょい、と顔を出し、
「あれ? リィ、かばんは?」
「……質に取られたのか、質を持たされたのか、ちょっとわかりかねる状況?」
「は?」
「あのね、これ、ツカサのお財布で、朝ご飯を買ってきてって頼まれたの。それと、今電話でこれがないとバスに乗るお金がないって言われた」
 その場の空気が一瞬にして固まる。
「バスで登校って、私はてっきりツカサだけかと思っていたのだけど……」
 その先は久先輩と兄ふたりで意見が割れた。
「え? 翠葉ちゃんも一緒にゆっくりしてくればいいじゃん。俺、全然気にしないよ?」
「リィまで朝の混雑したバスに乗ることないっ」
「翠葉は帰って少し休め」
 私は三人の顔を順番に見てため息をつく。
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