光のもとでⅠ
「……私は自分を大切にしてないわけじゃない。ただ、自分以上に大切なものがあるときは仕方ないと思う」
「……その『自分以上に大切なもの』がいくつあるのか教えてくれないか?」
「……え?」
「自分より優先するものがひとつふたつなら認められなくもない。でも、翠のは違う気がする。自分より上位に家族や友人、周りにいる人間全員載せてないか?」
 身体がビクリ、と震えた。
「それで自分を大切にしていないわけじゃない? 笑わせるなっ」
 そんなこと言われても困る……。
 だって、大切なんだもの。
 何ひとつ落としたくないんだもの。
 欲張りって言われるかもしれない。
 でも、何も失いたくないの。
 手に持ちきれないのなら身体を張るしかないでしょうっ!?
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