光のもとでⅠ
 あのとき、私はなんと答えただろう。
 茜先輩がずっと心に抱いてきた闇のひとつは「心変わり」。
 今の私はあのときの自分に戻れない。
 あまりにも状況が違いすぎて。
 秋斗さんとツカサのふたりを失わないですむのなら、と決めたのがこの道だった。
 どちらも選ばないという道。
 それは、大切な人を失わないですみ、なおかつ、自分が楽にならないための唯一の道だった。
 決してツカサや秋斗さんを苦しめるための選択ではなかったはずなのに、どうしてこんなにもツカサの声が悲痛に響くのか。
 まるで、同じ道をツカサも歩いているみたい。
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