光のもとでⅠ
「キス、したとか……?」
「…………」
「黙るは肯定ね。……まさか、告白した日にキスまでしてたとは。兄さんは嬉しい限りだよ」
 にこにこと笑う兄さんから視線を逸らす。
「お願いついでに二、三日マンションに泊めてほしい」
「くっ……まぁね、姉さんのとこじゃどうしたっていじられるだろうし、ここで発症しようものならそれこそ洒落にならない。父さんの不機嫌マックスで病院各所に被害者続出。そんな事態は避けるが一番」
 そう、それだけは何がなんでも回避――。
「いいよ。空いてる部屋好きに使って。あとで一緒に病院へ行って検査だけは済ませよう。薬はそのときに用意する」
 言い終えると同時、兄さんの視線が俺の背後へ移される。
「司、おまえはミイラになるのか?」
 振り向くと、そこには自分と同じ顔をした父さんがにこりと笑って立っていた――。
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