光のもとでⅠ
 明日から父さんは学会――。
 でも、司がこっちに帰ってくるなら問題ないか。
 そんなことを考えつつ、実家に置いたままだったアルバムを手に取る。
 高校生の司を見ているからか、なんとなく過去の自分を振り返ってみようかな、という気になった。
「秋斗も俺も蒼樹くんも若かったなぁ……」
 何も変わらない気もするけれど、やっぱりどことなく幼く見えるから不思議だ。
 懐かしいアルバムをめくっていると、姉さんから電話が入った。
 着信名、「麗しきお姉様」。
 俺の携帯は姉さんにいじられてからというものの、姉さんからの連絡が入ると必ずそう表示される。
「はい」
『ちょっと、出るの遅いわよ。麗しい姉からの電話にはとっとと出なさいよねっ!?』
「スミマセン……。で、何?」
< 7,658 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop