光のもとでⅠ
「コーヒーでも飲まないか?」
 声をかけると、「俺が淹れる」と俺より先に部屋を出た。
 その背中を見て思う。
 大きくなったな、と。
 俺が初等部三年のときに生まれた司が今は高等部二年。
 そりゃ自分も年を取るわけか……。
 そんなことを考えつつ、先ほど考えていた続きを考える。
 もし仮に返事をもらっていないとしたら、どんなシチュエーションでキスになるわけ?
 しかも、相手はあの翠葉ちゃんで、これは間違いなく「司」という人種なわけで……。
 どうにもすっきりしない。
「キスをしたってさ、それ、合意のうえで、だよな?」
 司は眉間にしわを寄せ、ものすごく嫌そうな顔をした。
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