光のもとでⅠ
 司はすぐにカップを持って撤退の姿勢。
「悪い、からかうつもりはないよ」
 引き止めるように声をかけると、司は肩越しに俺を振り返り、数秒間目を合わせてからソファに腰を下ろした。
「性衝動がどこから、って定義にもよるかもしれないけど、人間は人を好きになったらありとあらゆる形で相手を求めるものなんじゃないかな。触れたい、抱きしめたい、キスしたい、セックスしたい。そんな衝動、男も女も関係なく持ってる」
 しょせん、人間だって一動物に過ぎない。
「ま、セックスに関してだけなら男のほうが物理的、肉体的快楽を得やすい分、衝動や欲求自体が高まることはあるだろうな。女の子は男よりも社会的、肉体的事後リスクが高い分、本能的に性行為には慎重になるものなんだよね。司だって三大欲求は知ってるだろ? 性欲なんてあって当たり前。生殖行為だから、人間なら誰でも本能として備え持ってる」
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