光のもとでⅠ
「両思いならそんな難しいことじゃないよ。手をつなぐくらいは普通にできるだろうし……その先は訊いてみたら?」
「なんて……?」
 真面目に訊かれているから真面目に答える。
 でも、言葉にしてみたら意外と間抜けだった。
「普通に訊けばいいんじゃないの? 抱きしめてもいい? って。キスしてもいい? って」
 司は赤面しつつ、射抜くような目で俺を睨み返してくる。
 いつものなんてかわいすぎて比にならない。
 でも、赤面効果であまり怖くもないわけで……。
 これは即ち、「そんなこと言えるわけないだろっ!?」ってところかな?
「最近の司は表情が豊かだな」
 ついそんなことを零せば機嫌の悪さに拍車をかけてしまったようだ。
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