光のもとでⅠ
 そんな表情も好きなんだよね……。
「今お茶を淹れたところだからよかったら飲んでいかない?」
「……私、このあと病院へ行かなくちゃいけなくて」
 言いづらそうに答えたけれど、話し始めてからの言葉に淀みはなかった。
 きっと、彼女は断る理由をあらかじめ考えて来たのだろう。
 ……なら、これはどう?
「それ、誰かが迎えに来ることになってる?」
「いえ……行きは藤山の私道を通らせていただいて、歩いていく予定です」
「それなら行きは俺が送っていくよ。だから、ティータイムに付き合って?」
「でも、秋斗さんお仕事……」
 がんばって食い下がるね。
 でも、そのくらいじゃ俺も諦めないよ。
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