光のもとでⅠ
「ティータイム、つまりは休憩時間。それに、病院までなら行って帰ってきても十分とかからないよ」
 こういうふうに話を持っていくのは得意なんだ。
 多少強引でも、翠葉ちゃんと過ごす時間を得られるのなら躊躇はしない。
 彼女は仕事部屋に入って数歩で歩みを止める。
 視線の先にはダイニングテーブル。
 どこか逡巡しているような表情に見え、何を思っているのか、と思考をめぐらせるものの、俺には何を考えているのかまではわからなかった。
 テーブル脇に立つと、彼女はふたつのカップに視線を落とす。
 すでに淹れられたお茶を不思議に思ったのだろう。
「今日二回目のどうして、って顔」
 俺がここから翠葉ちゃんを見たのは一回じゃないよ。
 ずっと見てた。ここにたどり着くまでずっと……。
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