光のもとでⅠ
 一週間の撮影期間は雨が降ったりなんだかんだと過酷なものではあったが、スタッフに支えられて納得のいくものを撮ることができた。
 それこそ、朝から晩まで木に囲まれた場所でカメラを構えていたような一週間。
 八月の半ばに撮影が終わり、写真のピックアップから編集までの一切を二ヶ月弱で終わらせ十月には発売。
 出版なんてものが初めての俺にはそれがどのくらいすごいことなのかよくわからなかったけど、シゲさんに嫌というほど忙しかったことを訊かされれば相当大変な作業だったんだな、くらいには察する。
 たかだか親友の娘のためにここまでするか……?
 そうは思ったけど、オーナーを動かすだけの力を持つ人間がいるんだ、って思うと少し不思議な感じがした。
 そして、オーナーの人間らしい部分を垣間見た気もしていた。
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