光のもとでⅠ
俺は撮りたいものを撮りたいだけ撮らせてもらえた、という実感しか得ないうちに初版が発売された。
初めての写真集のタイトルは「悠久」
初版にはシリアルナンバーが設けられている。
これらは実店舗の店頭にしか並ばない。
一定期間内に完売したら増刷されることが決まっていて、そうなったときにはネットショップにも流通することになっていた。
そして、初版の一冊に自分が好きなシリアルナンバーをつけていいと言われたのだ。
「……それ、自分に欲しいんですけど」
「彼女にか?」
「はい」
茜以外、俺がこのバイトをしていることを知らない。
ほかの誰に渡すこともない。
「じゃぁ、もうひとつだ。もうひとつシリアルナンバーを考えろ、桁数は問わない」
「いったいなんのために……?」
「契約どおり、初版のみメールフォームから届くメールに返信をしてもらう」
それは承知している。
初めての写真集のタイトルは「悠久」
初版にはシリアルナンバーが設けられている。
これらは実店舗の店頭にしか並ばない。
一定期間内に完売したら増刷されることが決まっていて、そうなったときにはネットショップにも流通することになっていた。
そして、初版の一冊に自分が好きなシリアルナンバーをつけていいと言われたのだ。
「……それ、自分に欲しいんですけど」
「彼女にか?」
「はい」
茜以外、俺がこのバイトをしていることを知らない。
ほかの誰に渡すこともない。
「じゃぁ、もうひとつだ。もうひとつシリアルナンバーを考えろ、桁数は問わない」
「いったいなんのために……?」
「契約どおり、初版のみメールフォームから届くメールに返信をしてもらう」
それは承知している。