光のもとでⅠ
 身体が弱いってどんななのかわからない。
 俺は五体満足の健康優良児だし、幸い回りに身体の弱い人間はいなかった。
 精神的に弱い、というのなら、茜のお母さんがそうだったけど。
 オーナーが動いたのは、それだけ大切な親友の娘だからなのか、それとも、その子の余命がわずかだからなのか。
 そんなことだって知る由はない。
 純粋に、写真を撮ることを楽しんでもらえたら、と思った。
 性別はオーナーから聞いて知っていた。
 年はメールフォームのアンケートから十代後半と知った。
 十代後半と言えど、それが指す範囲は意外と広い。
 とくに、この年頃の年令は、一歳の差がえらく大きく感じる。
 けれど、オーナーの言った「同じ目線で」という言葉を加味するなら、俺と同世代という線が濃厚。
「同じ目線で」というのは、年相応、等身大の俺で、ということだと思ったからこそあの文章だった。
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