光のもとでⅠ
 そう言われて早五ヶ月。
「はぁ……俺、彼女に合わせる顔がないんですけど」
「そう言うなよ。姫さんだって知らない人間ばかりのところで仕事するよりも知った顔があったほうがほっとするってもんだ」
「いや、そうは思いますけど……」
「姫、入りまーすっ!」
 その掛け声と共にはいってきたのは彼女――藤宮学園高等学部生徒会会計所属、御園生翠葉。「Suiha」だ。
「彼が久遠です」
 園田さんに紹介され、俺は目深にかぶった帽子を取る。
「久先輩っ!?」
「あはは……ごめんね? こんな対面で」
 俺は苦笑い以外の表情はできずにいた。
 彼女はフルフル、と首を振ってはこれ以上開けられないだろうと思うくらいに目を見開く。
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