光のもとでⅠ
 秋斗さんは気の毒だと思う。
 貸したものを返してもらうときにまた会えると思っていただろうからさ。
 でも、そんなの知ったこっちゃない。
 司っちだって同じ。
 何ちんたらやってるのか知らないけど、君だってリィに避けられてるでしょ?
 両思いのはずなのに、ホント何やってんだか……。
 この際、このふたりのことはどうでも良かった。
 自分さえクリアできればそれで良かったんだ。
 だから、勉強を教えに来た司っちを追い返した。

 インターホンが鳴り、「誰かしら」と言ったのは碧さん。
 あんちゃんも不思議そうな顔をしたけど、俺はすぐにピンときた。
「あ、俺出ます。たぶん司っちだから」
 そう言って、ダイニングをあとにした。
 玄関を開けると案の定、司っちが立っているわけで……。
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