光のもとでⅠ
「まず、物理的な壁をひとつ提示。リィはさっきお風呂に入ったばかりです。それの示すところは? ……長風呂につき、二時間近くは出てきません」
 でも、これだけじゃ納得しないんでしょ?
 いいよ、俺がずるいのなんて誰にばれてもなんの支障もないし、痛くも痒くもないからね。
「第二に、リィが会いたくない人間にわざわざ会わせようとは思わない。リィが会うって言うならともかく、今は間違いなく答えは『否』だ」
 司っちはほんの少し唇を噛んだ。
「だいたいさー、こんな夜半に大事な妹に会わせられますかっつーんだ。まずは俺に門前払いされないところでリィに近づくことだね」
 にこりと笑ってそう言うと、司っちは片方の口端を上げる。
「あぁ、それでしたらすぐに会えそうだ」
「ん?」
 それは想定外なんだけど、どういうことかな。
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