光のもとでⅠ
 電車内じゃ携帯は鳴らせない。
 鳴らしたところで車内で出る子じゃない。
 リィがもう少し不真面目な女子高生だったらよかったのに、と不謹慎なことを考えつつ、メール画面を起動させて終了ボタンを押した。
「メールじゃだめだ。こういうときはちゃんと電話で捕まえないと……」
 俺もだいぶリィの生態や性格には詳しくなってきたと思う。
 こういうとき、メールだとあの子は逃げる。
 でも、電話はどうやら違うらしい。
 そこにどんな差があるのかは知らないけど、確かにリィの中でメールと電話には差があって、電話に出られなかったときの方が罪悪感が強いのだ。
 だから、俺は電車を降りるのを待つことにした。
 すでに地図表記はやめ、航空映像に切り替えてある。
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