光のもとでⅠ
 電車は支倉方面へと向けて走っていた。
 その列車の五両目にリィを示す点がある。
 いったいどこへ行くつもり……?
 ねぇ、リィ……俺に一時間半で帰ってくるって言ったのは嘘だったの?
 本当は最初からこうするつもりだった?
 だとしたら、それはちょっと許せないかな。
 どんな理由があるにしろ、故意的に人に心配をかけていることと変わらない。
 唯兄さん、そういう部分を甘やかすつもりはないよ?
 じっと電車の行く末を見ながら、かわいい妹をどう叱ろうかと頭を捻る。
『対象、支倉にて下車』
 そのあと、残りふたりの警備員も続けてリィを確認していた。
 俺は手に握ったままだった携帯の通話ボタンを押す。
 鳴らせども鳴らせども応答がない。
 気づいていないのだろうか。
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