光のもとでⅠ
「今、血圧が低下、脈拍が上昇中です。そこから顔色は見えますか?」
『残念ながら、髪の毛で隠れていて顔色までは確認できません』
「……すみませんが、対象を確保してください。妹には持病があります」
『対象に男性老人が接触』
 男性、老人……?
『対象の知り合いの模様です。手にはウィステリアホテルの手提げ袋』
 老人、ホテルの手提げ袋……?
『対象、老人と待合室へ移動する模様』
 老人って誰……?
 警護班が知らない人間ということは派閥関連企業関連の人間じゃない。
 第一、そんな人間とリィが知り合いだという話も聞いていない。
 ノーマークな人間でリィが追いかけたくなる人間。
 リィが警戒せずに接することのできる人間。
< 7,800 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop