光のもとでⅠ
「……え?」
 私がおねだりすることはあっても、蒼兄から一緒に寝ようと言われることはめったにないのだ。
「俺の部屋にあるベッドの下には、家の翠葉のベッドと同じように引き出せるタイプのベッドがある」
「……そうなの?」
「俺はレポートを作らなくちゃいけないから夜遅くまで起きているけど……。電気がついたままでもいいならおいで」
「……邪魔じゃない?」
「邪魔じゃないよ。それに、首に手を伸ばしたらすぐに止めてやれる。翠葉、ボストンバッグに鈴付けてたよな?」
「え? あ、うん」
「それを手首に付けよう? そしたら手を動かしたらすぐに気づく」
「でも、そしたら蒼兄が深い眠りにつけなくなる」
 それは嫌だ……。
「俺が目覚まし鳴って三秒で止めることができるのは知ってるだろ? もともとそういう体質なんだよ」
 それは蒼兄のちょっとした特技。
 電話なら基本はワンコールで出てくれるし、目覚まし時計は朝早くに鳴らすため、ほかの家族が起きないように極力早くに止めることができる。
「じゃ、用意してくるから」
 と、部屋を出ていった。
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