光のもとでⅠ
 最後の一言を申し渡そうとしたとき、俺と翠の間に簾条が割り込んだ。
「話の途中悪いけど、タイムリミットよ」
 簾条はふたり分の教材を手にしていた。
 恐らくは翠の分を持ってきたのだろう。
「このあと、うちのクラス化学室だから。翠葉を走らせたくないならあとにしてくれない?」
「……構わない」
 自分もタイムリミットだった。
 このタイミングで戻らなければ自分も次の授業に遅れる。
 だから、その場はおとなしく引き下がることにした。
 けど、翠――これで終わったと思うな。
< 7,829 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop