光のもとでⅠ
 こういうの、自傷行為っていうのかな。
 自傷行為とは、無意識でやるものを指すのだろうか。あるいは、意識があろうとなかろうと、自傷行為なのだろうか。
 そんなこと、今まで意識もしたことがなかった。
 それほどまでに自分には余裕がないのだろうか。
 ――余裕。
 言葉にすればたったの三文字、漢字なら二文字。
 なのに、その存在は計り知れないほど大きなものに感じる。
 ほどなくして蒼兄が戻ってくると、寝る準備をして蒼兄の使っている部屋へ移った。
 ラベンダーカラーが優しい部屋。
「上のベッド使っていいよ」
 言われて素直に従う。
「蒼兄、蒼兄はいくつまで自分のやりたいことを並行してできる?」
「え? ……ごめん、ちょっと意味がわかりかねる」
「……私はね、今は体調と学校で手一杯。そこに三つ目の恋愛を入れるスペースがないみたいなの」
 デスクチェアーに腰掛けていた蒼兄は、椅子を回転させてこちらを向く。
「そういう意味か……。そうだなぁ、その時々によるし、もののウェイトにも関係すると思わない?」
 ウェイト……?
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