光のもとでⅠ
 俺は何も知らずに姉さんのマンションに帰ってきていた。
 まさか、翠がひとりで母さんに会いに行っているとは思いもせずに。
 今日は病院の日だから勉強を始めるとしたら九時過ぎがいいところ。
 そんな算段をつけゲストルームへ向かった。
 ゲストルームのインターホンを押すと唯さんが出てきた。
 玄関が開くなり、
「司っち、回れ右」
「は?」
「うん、とりあえず回れ右」
 譲る気はないということか……。
 俺は唯さんに押されて表の通路まで戻る羽目になった。
< 7,830 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop