光のもとでⅠ
 記憶にあったそれより太くなった幹をたどれば、黄色くなった葉の合間から空が見えた。
 秋らしい空だな……。
 俺はベンチに寝転がり、視界に入る紅葉と空を見ていた。
 風を感じながら、ゆったりと流れる雲を見るのはどのくらい久しぶりだろうか。
 余計なものは一切介入しない場所。
 ――そのはずだった。
 しかし、しだいに近づく足音がある。
 ここに立ち入れるのは限られた人間のみ。
 音のする方へ視線だけを向けると、予想をしない人物が立っていた。
「秋兄……」
「司、なんでおまえがここに……?」
 それはこっちの台詞だ。
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