光のもとでⅠ
 この場を離れようと動作に移したとき、
「あのさ」
 秋兄に声をかけられた。
 秋兄に視線を戻すと、ひどく真面目な顔をしていた。
「自分以外の男が彼女の隣に並ぶとしたら司以外は考えていない。でも、引くつもりも諦めるつもりも一切ないからそのつもりで」
 ……そんなの。
「翠が俺以外の人間を選ぶとしたら秋兄以外を認めるつもりはない。それから、翠が俺を見ていてくれるうちは絶対誰にも渡さない。たとえ、相手が秋兄だとしても」
 秋兄は喉の奥でくくっ、と笑った。
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