光のもとでⅠ
 ここのところ、秋兄とは顔を合わせるたびに刺々しい接し方をしていた気がする。
 秋兄との言葉の応酬は今に始まったことではないにしても、棘の種類がいつもと違うことは明確で、その原因はわかっているのにクリアにすることができなかった。
 翠がその空気を感じ取っていることに気づいていても、俺はどうすることもできずにいた。
 俺を避けている翠への当て付けもあったかもしれない。
 こうやって普通に話そうと思えば話せるのに……。
 何やってたんだか――。
「秋兄、あのさ――」
「俺に言わせろよ。……好きな子が絡めば心穏やかにいかないこともある。でも、少なくとも彼女の前でギスギスしたところは見せないようにしよう。何かと鈍い子だけど、こういう空気には敏感だからさ」
 そう口にした秋兄の表情はひどく穏やかだった。
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