光のもとでⅠ
「俺たち、ライバルなんだけど同士だとも思わない? 好きな子が敵っていうか――」
「本当……何を考えているのかわからないは、突拍子もない行動に出るは……」
 俺の愚痴を秋兄は笑う。
「でも、そんな子が相手じゃなかったら惹かれなかったと思わない? 俺、自分の思いどおりになる子が欲しいわけじゃないんだな、って気づいちゃったよ」
 わからないからこそ関心が高まる、好奇心に駆られる。
 思いどおりにならないからこそ固執する。
 たぶん、今の俺はそんな状態。
 どうやら正面に座る秋兄も同じらしい。
 変だな……。
 この手の話を人とするのは苦手だと思ったはずなのに、相手が秋兄だと抵抗が少ない。
 秋兄はずっと嫉妬の対象だったはずなのに。
 俺は秋兄がほかの人間とどう違うのかを考えつつ、ベンチに背を預けた。
< 7,855 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop