光のもとでⅠ
 司、話をしよう。
 事務的な話ではなく、普通の話を。
 司は最初こそ嫌そうな顔をしていたが、途中から纏う空気が変わった。
 俺たちは短時間ではあるものの、自分たちの好きな女の子の話をして過ごした。
 どのくらい前だったかな……。
 司とこんなふうに話ができたら、と思ったのは。
 ライバルだけど、ライバルだからこそできる会話というか、同じ子を好きになった者同士だから話せることがあるというか……。
 ずっと、こんなふうに話せる日を待っていた。
 そして、俺たちの考えは一致する。
 彼女の記憶は何かの拍子に戻ったのだと――。
< 7,873 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop