光のもとでⅠ
 司と散策ルートを回り終え、私道に出てくるとじーさんが待っていた。
 提案されたのはばーさんの墓参り。
 俺と司は何を言うでもなくその提案に従った。
 三人でばーさんの墓参りを済ませて庵に戻ってきたとき、司が夕飯に誘ってくれたが断った。
 さすがに、もう会議が始まる時間だ。
 蔵元には珍しく、未だに所在確認の連絡は入っていないがそれも時間の問題だろう。
 あと数分もしたら携帯が鳴るに違いない。
 車のキーをじーさんから返されたとき、
「運転には気をつけよ」
 気をつけろと言われても……。
 マンションに戻って着替えて――三十分の遅刻で済めばいいけどそれも怪しいくらいだ。
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