光のもとでⅠ
「蔵元には連絡済みじゃ。会議の開始時刻を一時間遅らせておる。くれぐれも、事故は起こすでないぞ」
「……じーさん、そういうことは早く言って」
「それじゃつまらんじゃろうが」
 いや、そういう問題じゃないから……。
 俺は司とじーさんに見送られて藤山をあとにした。
「ホント、あのじーさんにはまいるな。やることなすこと手抜かりなさすぎ」
 そうは思うものの、今心にゆとりを持って運転できるのはじーさんのおかげだった。

 会議は六時半から始まり、一時間を過ぎた頃にツールバーが妙な動きを見せ始めた。
 少しの変動にはうろたえないようになったが、彼女の数値は三十分経っても安定しない。
 今日、彼女は仕事でホテルへ行っているはずだが、それには唯が同行すると聞いている。
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