光のもとでⅠ
「唯、翠葉ちゃんはたぶん――」
「秋斗さんストップっ! 今すぐお口にチャックしてください」
 は……?
「……薄々気づいてはいるんです。でも、リィが帰ってきたら話してくれることになってるんで、ほかの人の口からは聞きたくない」
 唯はそう言うと苦笑を浮かべた。
 唯は彼女の記憶が戻っていることに気づいていたのか……。
 それでも、彼女が話してくれるのを待っているんだな。
「……わかった。会いはしない。けど、心配だから行ってくる」
「行くだけなら問題ないです」
 話が済むと、俺はすぐにホテルを出た。
 時計を見れば九時半。
 今から高速を飛ばせば十一時には着けるだろう――。
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