光のもとでⅠ
「どうぞ」
「失礼いたします」
 木田さんは手早くテーブルセッティングを済ませ、最後の一品をテーブルに置く。
「こちらは警護班の方からお預かりしたお品物です」
 言われて蓋を取ると、ボールペン型集音機がクロスに包まれスープボールに載っていた。
 それは俺が作った初代集音機と同じ形状だった。
「これ、誰が複製したんだか……」
 俺はくつくつと笑い、ボールペン型盗聴器を手に取った。
「翠葉ちゃんの朝食は?」
「七時半とうかがっておりますので、このあとお嬢様のもとへうかがいます」
「木田さんにお願いがあります」
「なんでございましょう」
「彼女が朝食を食べ終えるまで、同じ部屋にいてもらえませんか?」
 木田さんは俺の言葉に続きがあるのかないのかを確認するように、じっと俺の目を見ていた。
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