光のもとでⅠ
 話は徐々に過去から現在へと近づいてくる。
 それに伴い、彼女の口調に淀みがなくなってきた。
 俺の予感はたぶん当たる。
 彼女は俺を選ばない。
 そして、司も選ばない。
 どちらも選ばない――。
『じゃが、今はその先輩とやらと想いが通っておるんじゃろう?』
『でも、付き合っているわけではありません。ただ、互いが好きだと知っただけです』
 本当ならそれだけで十分なはずなのに……。
 ふと思い返し、そうか、と思う。
 俺はすぐ、関係に形を求めた。
 けど、司はそうしなかったのだ。
 気持ちが通じても、「付き合う」という言葉は口にしなかったのだろう。
 両思いだから付き合う、という方程式は彼女の中に存在しない。
 そして、司の中にも存在しない。
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