光のもとでⅠ

24~26 Side Tsukasa 01話

 朝早くに藤山を出て、パレスに着いたのは七時前だった。
 冬の遠出ということもあり、じーさんの専属医である藤原さんも同行している。
 パレスに来る客にはじーさんの顔は知られすぎている。
 変に騒がれることを避けるため、車を裏口につけ従業員通用口からパレスに入った。
 そして今は、表の客室ではなくバックヤードにある応接室で待機中。
 連絡はしていないが秋兄のことだ、じーさんの到着を知ればすぐここへ来るだろう。
 じーさんは従業員が運んできたコーヒーを口にし、藤原さんはその隣で本をめくっている。
 藤原さんはじーさんの体調管理はきちんとするが、それ以外で私語をするような人ではなく、黙々と本を読み進める。
 そして俺も、藤原さんと大して変わりはなかった。
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