光のもとでⅠ
 俺はうだうだと考える。
 こんなの、秋兄ひとりに聞かせなくて良かった。
 それはもう、心の底からそう思う。
 俺は、ものすごく普通の顔をしてパソコンをシャットダウンしている秋兄に声をかけた。
「それ、片付けたら帰るよ」
「あぁ……」
 ノートパソコンをしまう間もソファを立っても秋兄の表情は変わらない。
 このあと、俺と普通に話して普通に笑ったりしたら思い切りぶん殴ってやりたい。
 俺は無意識に拳を作り声を発した。
「あのさ、そんな状態で俺と張り合うつもり? 今本気出さないと秋兄後悔するんじゃないの?」
「…………」
「昨日、藤山で俺に言ったことは嘘?」
「…………」
< 7,940 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop