光のもとでⅠ
「……なんか、頭殴られた気分なんだけど」
 やっと言葉を口にしたかと思えばそんなこと。
「どうせだったら本当に殴ってもいいんだけど……」
「いや、遠慮しておく。もうすでに頭がぐわんぐわんいってるから。これ以上衝撃与えられたら運転不可能になりそうだし」
「別に俺は困らないけど? そしたら電車で帰るか人を呼びつければ済むことだろ」
「ま、それはそうなんだけど」
 秋兄はへなへなとその場にしゃがみこむ。
「いや、まいったな……。何? 翠葉ちゃんにキスしたって?」
 改めて訊かれると微妙な心境……。
 俺は顔を逸らしたくて、「した」とだけ答えた。
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