光のもとでⅠ
 知らないから戸惑う。
 何が良くて何が悪いのか、何が普通で何が普通じゃないのか。
 すべてにおいて経験値という基盤がないから、自分の中の何とも比べることができなくて。
 自分ひとりでは判断ができなくて、人に話すこともできなくて――。
 あぁ……俺と秋兄は今同じところにいるんだ。
 やっと実感できた。
 同じ場所にいる、と。
 理解した。
 なんで秋兄に恋愛の話をすることに抵抗がないのか。
 同じだからだ。
 今まで恋なんてしてきてない者同士、同じだから。
 本当に「同士」だったんだ。
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