光のもとでⅠ
「帰るか……」
「帰ろう、藤倉へ。で、あのバカをとっとと攻略する」
「バカっていうのはひどすぎないか?」
「だってバカだろ? どこからどう見てもバカだろ? こんな寒い日に好き好んで森へ行くくらいにはバカだろっ?」
「あはは、本当だったら今頃一緒に藤山歩いているはずだったのにな?」
 言われて思い出した。
 そうだった……。
 俺、初デートをキャンセルされたんだった。
「秋兄、帰ったら落城させるよ」
「了解」
 俺と秋兄は互いの手を取り合い、体重を分かち合うように立ち上がった。
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