光のもとでⅠ
 その組織の人間からしてみたら、親玉の佐々木が権力を失い支店へ出向させられたことは喜ばしいことではない。自分の出世に大きく関わる。
 大げさにいえば死活問題にもなり得ただろう。
 中には、佐々木の降格と同時期に降格処分、懲戒処分を受けた人間もいるという。
 つまり、佐々木の異動をよく思わない人間がそれなりにいたということ。

 雅さんは先の一件からこちら、自宅に軟禁されている。
 接触できるのは警備員と自宅のお手伝いのみということだったが、実際のところは違ったらしい。
 警護には佐々木の息がかかったS職の人間がついていたうえ、家に出入りする行商とは接触していたようだ。
 つまり、かなり緩い軟禁状態だったといえる。
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