光のもとでⅠ
 人事部のトップもS職管理部のトップも、信頼のおける人間が就任していた。
 どこでどのようにすり替えられたのかはわからない。
 が、切れ者ふたりを出し抜く程度には綿密な計画が練られており、首尾よく事を運んだのだことになる。
 しかし、翠の警護につく人間がすり替えられたところで派遣されるのはS職の警備員であることに変わりはない。
 今回においてはどの程度の警護レベルなのかがきちんと伝わっていなかっただけ……。
 直接交わしたはずのオーダーシートが差し替えられていたと気づけば人事に関わった人間並びに秋兄は肝を冷やすことになる。
 それ以上でもそれ以下でもなく。
 つまり、その程度のものだった。
 大ごとには結びつかない。が、そこに関わる人間は過失を問われ責を負うことになる。
 犯人である自分たちが割り出されなければいい――そう安易に考えた人間たちの行動だった。
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