光のもとでⅠ
 その理由を催促する前にケンは話しだす。
「越谷んちって代々続いてる老舗茶屋ってだけでとくに大きな会社じゃない。こと、うちの学校の中じゃ霞んじゃうくらい。だからさ、越谷の取ってる行動は滑稽にしか見えないんだ。中等部くらいからかなぁ……? 弁当とかひとりで食うようになったの、球技大会のチーム決めもうまくいかないっぽい。仲間はずれにしてるわけじゃないのに、そんな状況になっちゃうらしいよ。越谷が口を利かないだけで」
「ふーん……」
「ふーん、って……。ま、司は地でそれをいってるからなんとも思わないか」
 肯定もしないが否定もしない。
 家柄や成績は関係ない。
 俺が興味を持つか持たないか、俺の主観はそんなものだ。
 俺にとっての基準が「興味」なら、越谷にとっての基準が「家の格」だった。
 それだけのこと。
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