光のもとでⅠ
 ドアレバーに手をかける前にドアは開かれる。
 こうやって母さんが出迎えてくれるのはいつものこと。
 小さい頃からそれが当たり前。俺にとっては日常的なことだった。
「おかえりなさい」
「じーさんからファイル届いてる?」
「えぇ……。司の部屋の机に置いてあるわ」
「そう」
「司……」
「何?」
「……ううん、なんでもないわ。夕飯、食べるでしょう?」
「着替え終わったらすぐ下りてくる」
「わかったわ」
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