光のもとでⅠ
 しかし、本当のところは「無秩序」でも「杜撰」でもない。
 見る人が見れば、きちんと法則に則ったファイリングがされている。
 今回も人に見せるつもりはなく、自分用に作ったのだろう。
 それをじーさんに見せる羽目になった。
 そう考えるほうが納得がいく。
 第一、今回の件で雅さんに引っかかりを覚える人間がどれほどいただろうか。
 佐々木と雅さんの関係に気づく人間はいたかもしれない。 
 が、そこから雅さんの経歴を調べようとまで思う人間がどれほどいるか、という話だ。
 一度置いた携帯に手を伸ばし、秋兄の番号を呼び出す。
 こちらはコール音二回で応答した。
「今、時間取れる?」
『あぁ、大丈夫だ』
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