光のもとでⅠ
 俺はそんなできた人間ではないし、一族の中にどれほそのしがらみが蠢いているのか、と考えただけでも辟易する。
 それでも、雅さんのこれはそれらと一緒くたにしていいものではないことは明らかで……。
「人」だからできることがある。
 科学的な薬ではなく、人の心そのものが薬になるのが「人薬」。
 それは医療従事者と患者、という関係に限られない。
 職業や年令といった枠に囚われることのないとてもシンプルなもの。
 友人や家族、人と関わることで得られる薬――。
 知っていても、今の俺が雅さんにできることはない。
 同情こそすれ親身にはなれない。
 それでは意味がない。
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