光のもとでⅠ
「食べれば?」
「あ、はい……」
 条件反射。もしくは上の空で答える。
 数秒後に小さな声で、
「ツカサ……みんなにすごく見られてる」
「そのうち慣れるだろ」
 身も蓋もない返答をし、俺は黙々とおかずを口に運んだ。
 すると、簾条が翠に声をかける。
「翠葉、諦めなさい。その男、基本的に自分の行動を改めるって概念持ち合わせない人間だから」
「桃華さん……」
「なんだったら、椅子を後ろに向けて私の顔を見て食べたらどうかしら?」
 相変わらず嫌みな女だ。
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