光のもとでⅠ
「や……司も桃華も、翠葉困ってんじゃん」
 海斗がすぐに応じたが、
「困らせているのは藤宮司であって私じゃないわ」
 俺に丸投げする人間など身内以外には朝陽しかいなかったはずだが、簾条はそこに堂々と名を連ねるまでになっていた。
 が、俺にも言いたいことはある。
「海斗、その認識は間違ってる。困らされているのは俺だ」
 翠は目を白黒とさせ、思案の末に頭を抱えそうになる。
 すぐに答えをやるから安心しろ。
 翠が顔を上げ、目があったところで笑みを向けた。
「昨日の帰り、夜電話するって言ったと思うけど?」
「え……?」
「一度通話状態になったにも関わらず切った理由は?」
 しばし沈黙が流れる。
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