光のもとでⅠ
 海斗を一瞥すると、
「あはは、バレてた?」
「バカが……。あんな企み、朝陽たちが直接手を下すわけがない。佐野はそれに巻き込まれた口だろ?」
「ははは……ぶらぶら歩いているところを海斗と千里に捕獲されました」
 ふたりは俺から離れるように、ずず、と椅子を引き遠ざかる。
 そのとき、クラス全体が視界に入り、俺はこのクラスの生徒を端から順に目で追った。
「まぁ、このクラスに限って噂を助長する人間がいるとは思ってないけど」
 問答無用、と意味をこめて笑みを向ける。
 俺が笑うのはこんなときくらいなものだろう。
 あぁ、だからケンが珍しがったのか……。
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